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2025.12.05

奨学生インタビュー|大田病院 奨学生 山形県から上京して都立板橋看護専門学校で学び → 現在急性期一般病棟に勤務中の看護師)

「焦っていた僕」を支えたのは、経済的な安心と、温かい先輩たちでした。

「実習と国試勉強、そして生活のためのアルバイト。本当に両立できるだろうか?」 看護学生時代、誰もが一度は抱くそんな不安。
現在、急性期一般病棟で活躍するT.Aさんも、かつては模試の結果に焦りを感じていた学生の一人でした。
彼が大田病院の奨学金制度を選んだきっかけは、クラスメイトからの何気ない一言。
しかしそこには、幼い頃から抱いていた「地域の人々と関わる仕事がしたい」という想いと重なる、運命的な出会いがありました。
奨学金制度を活用することで得られた「勉強時間」と、学生時代から同期や先輩たちと関わることで解消された「入職への不安」。
そして今、医師や先輩たちに支えられながら実感している「大田病院らしさ」とは? 等身大の言葉で語られる、先輩看護師の成長ストーリーをご紹介します。

 

Profile T.Aさん 
出身校:都立板橋看護専門学校
家族構成:両親、兄
趣味:旅行、ドライブ、家でゆっくり過ごすこと
勤務職場:大田病院急性期一般病棟

大田病院の看護師(看護学生)奨学金制度
看護学生:看護師職場体験(インターンシップ)

 

どんな看護師になりたいと思っていましたか?

山形県出身で、地域の人たちと関わることが多くありました。小さいときから祖母の家にもよく行っていたし、小学校のとき職場体験で老人ホームに行って、高齢者と関わったときに楽しいという印象が強かったです。
それで漠然と、こういう地域の方々と関わるような仕事がいいな、と思っていました。
小学校6年生のとき、母との何気ない会話の中で「あなたは看護師に向いていると思う」と言われて、はじめて明確に意識しました。
「そういう仕事があるんだ」「僕を一番知っている母が言うならそうなのかな」と思ったんです。
また、祖母が入院したことがあって、お見舞いに行ったら祖母が笑っていた。子ども心に、病院って“暗いところ”、“つらいところ”、というイメージがあったんですが、病院でも笑顔がみられるというのは、関わり方で少し変わるのかなと思って、自分も、患者さんを笑顔にできるような看護師になりたいなと感じました。
高校を選ぶ時に高校の3年間+2年で資格がとれる衛生看護科も調べたけれど、父の友人の奥さんが看護師をやっていて話を聞いたら、普通科にいってからでもいいんじゃないかと言われて、高校は普通科の高校に行きました。
高校生活の中で他にやりたい仕事もなく、ずっと看護師というイメージはあったので、やはり看護師を目指そうと決めました。兄が都内にいたこともあり、都立の看護専門学校に進学し、兄と一緒に生活していました。

 

大田病院の奨学金制度を知ったきっかけは?

自分が大田病院の奨学生になったのは1年生の秋頃でした。
上京してきて、直接の家族からの支援が得られなくて、親からも奨学金について調べてみたら?と言われていた中でした。
東京都の修学資金などを調べて、どうしようかなと悩んでいました。
専門学校でとなりの席だった同級生に「奨学金とかどうしていますか?」と聞いたら、たまたまその人が大田病院の奨学生でした。
それが大田病院を知ったきっかけです。

 

奨学金制度に興味を持った理由は?

看護学校は3年間しかないので、当初からどういう病院で働くのがいいのかな、とは考えていました。
学校の先輩にも聞いたりして、都立の実習病院に行くという先輩もいて、自分もそうなるのかなと漠然と思っていたんですけど、クラスメイトから聞いて知った大田病院について調べる中で、「地域密着型」で、地域との関わりがすごくいいなと思いました。
コロナで職場体験(インターンシップ)は開催していなかった時期でしたが、HPの情報や説明会での話から選びました。

 

学生時代にどんなことが不安でしたか?

学生時代がコロナ禍の影響で、半分くらいは学内実習でした。
1年生のうちは実習は行けたけど、2年生のときは短縮されたり学内実習になったりして、短い期間で病院にいって学んでこなきゃいけないという不安はありました。
事例に基づいて実習をやるので、どうしても患者さんの訴えとかに直接触れることが少なくて、大丈夫かなという不安がありました。
ただ、僕の場合は、実習より国試の勉強の方がきつかったです。
摸試を受けても必修がなかなか合格点に到達しなくて、3年生のときすごく焦っていました。
朝から晩まで勉強していたと思います。早めに奨学生になって、バイトを減らせて勉強時間をとれたのはよかったと思います。

 

奨学生になる前にどんなことを重視していましたか?

奨学生になったらそこに就職するので、どんな病院で、自分がそこでどんな看護をやりたいか、が大切だと思っていました。
そのため、「どんなことに力を入れている病院か」というのは一番重視していました。
また、認定看護師にも興味があったので、認定看護師をとるための支援制度が充実していることもいいなと思いました。
もしかしたら取らないかもしれないけど、後々、取りたいと思ったらそういう選択肢もある、というのは魅力的に感じました。

 

応募を決めた理由を教えてください。

大田病院のいろいろな特徴の中で、僕の中では「地域密着」というのがすごくよかった。
小さい頃の経験もあって、地域の人たちと関わりたい、というのがすごくあったので、イメージがぴたっと合った感じがしたんです。
入院中だけでなく、退院した後も関われる「退院後訪問」の取り組みが、地域密着の病院ならではなのかな、と思いました。
あと、説明会で話を聞いたときに、奨学生ミーティングで勉強ができるということも興味を持った一つです。
学べるというのは僕の中で大きかった。
不安といえば、「他の学生と仲良くなれるのかな」とはちょっと思ったけど、入ってみたら意外と大丈夫でした。

 

奨学生になってから、どんなサポートがありましたか?

月1回の奨学生ミーティングでも、学生同士で意見交流できてよかったですけど、他の病院の奨学生と実行委員会形式の大きなイベントが年に1~2回あって、実行委員として一度そこに関われたのも面白かったです。
そのときは、実行委員は集まってイベントの準備をして、当日はオンラインで100名くらいの学生が参加していて、印象的でした。
自分は副実行委員長をつとめました。なかなか普通の学校生活だけじゃできない経験ができたなと思います。

 

印象に残っている看護学生室スタッフとの関わりは?

僕が学生のときはコロナ禍で、ミーティングもオンラインが多かったですけど、3年生の終わりのころは病院に直接来ることも少しずつ増えました。
オンラインのときも関わりやすいなと思っていましたけど、直接会って話すときも印象はそんなに変わらなくて、緊張しない感じで話せました。
何回か病院に来て、だんだん慣れていく感じがあったので、入職のときも安心できました。

 

奨学生としてどんなふうに成長を感じましたか?

患者さんを疾患だけではなく、生活背景なども含めて見る、ということをSDHの視点として奨学生のときに学びました。
これは学校ではあまり学ばないところで、民医連ならではの視点だったなと思います。

SDHとは…Social Determinants of Health(健康の社会的決定要因)の略で、WHO(世界保健機関)が提唱する考え方。健康は医療行為や個人の努力だけで決まるものではなく、人が生まれ育つ環境、社会の仕組みなどが大きな影響を与えている、という視点に基づいています。

学生のときに学んで面白いなと思ったけど、今働いていて最近もわりと注目している視点です。
それを学生の時から学べた、先取りできた、というのは自分の中では大きかったです。
また、奨学生ミーティングでは学生同士で話をする機会が多くて、他の人の考えを聞いて「そういう視点もあるのか」と気づくことも多かったです。
先輩看護師の事例を聞いてディスカッションしたり、知らなかった社会問題を知ったりしたことで視野が広がったと思います。

 

看護師として働き始めて、奨学生時代の経験がどのように活きていますか?

患者さんが地域に退院したあとも、往診や訪問看護などがいろいろ入っていて、退院するために何が必要か、多職種が関わって考えたり、できるだけ家で過ごせるように調整したりするところは、病院を決めたときに思い描いていた通りだなと感じます。
学生の時にはイメージだったものが、実際に働いてより具体的になって、活かせているかなと思います。
就職してから実際に退院後訪問に行って、「これが僕が学生の時に聞いて“いいな”と思ったきっかけだったな」、と思いました。実際に行ってみて、改めていいなと思いました。
印象的だった患者さんだったんですけど、「あの方どうなったんだろうな…」と気になったときに、実際に様子を見に行けるというのは、なかなかないと思います。
今、3年目になって、「退院に必要なこと」「入退院を繰り返さないためにどうしたらいいか」と、より今後を見据えて考えるようになったと思います。

 

―普段のリフレッシュ方法は? 忙しい日々の中で、どう息抜きしていますか?

オンとオフの切り替えは大切にしています。 最近は、以前から行きたかった熊本県の阿蘇へ、3泊4日の連休を取って旅行に行きました!
ドライブが好きなので、雄大な自然の中を走れて最高のリフレッシュになりましたね。
今まで行った中では、地元の山形にある銀山温泉もすごく良かったです。
普段のお休みは家でYouTubeを見たりしてゆっくり過ごすことが多いですが、こうやってまとまった休みを取って旅行に行くと、「また明日から頑張ろう」という気持ちになれます。


「念願の九州旅行にて。しっかり連休が取れるので、遠出も楽しんでいます!」

 

現在の仕事で“大田病院らしさ”を感じる瞬間は?

合同カンファは特に、ただ家や施設に帰す、というだけじゃなく、「どうしたらその方の希望を叶えられるか」、「どうしたらより良い生活が送れるか」を、在宅の意見も含めて方針を決めます。在宅部門もあるので、病院だけの視点でなく検討していけるのは大田病院らしさだと思います。
1年目・2年目のときから合同カンファに何度も参加させてもらい、退院前にこれだけのことをしていくんだ、と勉強になりました。みんながこの患者さんの退院のために関わっているんだな、というのをずっと見てきました。
そういう中で自分自身も視野が広がってきた感じがします。
この人が帰るために何が必要か、家族の協力は得られるのか、排泄管理はどうするか、食事はどうしていくか・・・など、入院中から様々なことを想定して見られるようになったと思います。
夜勤も少し余裕が出てきて、例えば「この方は、日中はこうだけど、夜こういうときがあるから、退院したときにどういうサポートがあるといいか?」と考えてチームに発信することもできるようになったと思います。

 

学びながら成長したい学生に伝えたいことは?

大田病院は、他の病院に比べて教育がゆっくり丁寧なので、自分のペースで進んでいけると思います。
かならず先輩がついて見てくれるし、自立してからも気にかけてくれる。
プリセプターの先輩も優しかったですけれど、その他の病棟のまわりのいろんな先輩が気にかけてくれるのがいいと思います。
ひとりだちは一人前じゃない。自立してからも、みんなが見てくれてサポートしてくれるよ、と伝えたいです。
僕自身、自立してからも「今、大丈夫?」「困ってることない?」と気遣ってくれる先輩がいて助けられてきたので、僕も後輩には自分から声をかけるようにしています。
1年目のときから「聞きにくい」と思うことはなくて、初めから聞きやすかったので、そういう雰囲気を作ってくれていたんだなと思います。
一緒に考えてくれて、一緒に答えを出してくれる、という感じです。

2年目の冬に、ある患者さんがすごくナースコールを押していたけど、他に優先しなきゃいけない患者さんがいて、時間をおいて行ったらすごく怒られたことがありました。
そのとき、結構落ち込んでいたんですけど、そうしたら主治医の先生が「Aくんのやったことは間違いじゃないよ」とメールをくれて、すごくうれしかった。
大田病院は、こんなふうに、いろんな人が看護師としての成長を支えてくれる環境だと思います!

 

 

大田病院の看護師(看護学生)奨学金制度
看護学生:看護師職場体験(インターンシップ) 

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