急性期のその先——退院後の生活まで見据え、患者様と半年ほど伴走する回復期リハ病棟。多職種で目標を共有し、「意味を持って待つ」ケアを実践する師長に、連携の要となる看護観と、放置しない教育体制・働きやすさを聞きました。
Profile
T.Gさん 大田病院 回復期リハビリテーション病棟 師長
家族構成:夫と22才、20才、17才の子供
趣味:3人の子育てをする中で、みんなサッカーをしていたので、休日は多摩川の土手に応援に行くのが習慣でした。
私自身も小中学校のときにサッカーをやっていたし、今も、その子どもたちのチームのママさんチームがあるので、月1.2回サッカーをしています。
フルートは、中学・高校の部活でやっていましたから、大田病院の院内コンサート「ひまわりコンサート」のときには練習して頑張って披露しています
看護歴:27年
キャリア:
新卒~4年目 腎臓内科、消化器内科
5年目~6年目 呼吸器内科病棟→産休
7年目~16年目 大田病院附属大森中診療所→2回産休、副師長を3年経験
17年目~22年目 大田病院透析室で主任を経験
23年目~ 回復期リハビリテーション病棟師長
✅大田病院看護師(常勤)募集要項
✅大田病院 看護師(非常勤)募集要項
大田病院では様々な経験・キャリアを積めるよう定期的な異動があり、そのつど新しい環境に身を置き自分のできることを広げてきました。
法人全体が見えるようになり、経験を活かし回復期病棟の師長をするよう話がありました。
大森中診療所で幅広く診療科で経験できたことは今の看護活動、師長業務に活かされていると思います。
私たちは、一人ひとりの患者様と約半年間関わります。
すべてのケースが完結するわけではありませんが、「この方の目標はこれだ」と多職種で話し合い、共通のゴールを持ってチームで支援を行っています。
リハビリを通して、退院後の生活を見据えた関わりができるのは、大きなやりがいです。
たとえば、麻痺で片手が使えなくなった方に対しても、もう一方の手を活用しながら、どのように生活を再構築していくかを一緒に考えていきます。
入院当初は意識がはっきりしなかった患者様が、自分の足で歩いて退院される姿を見られるのは、本当に驚きと感動があります。
胃ろうだった方が再び口から食べられるようになることもあります。
脊髄損傷で歩けない方が、再生医療を行っている病院と連携しながらリハビリを継続し、最終的には杖を使って歩けるようになった例もありました。
このような経験を通して、私たちが関わっているのは「急性期」ではなく、「その先の生活を支えるフェーズ」なのだと実感しています。
現在の病棟は20代4名、30代5名、40代11名、50代7名、60代3名と、幅広い年齢層のスタッフがいます。
雰囲気は、生活をする場という状態なので、落ち着いていて、気が長い人が多いと思います。
若手は、おとなしくて優しい人柄の方が多いんです。
「居心地がいい」「優しい人が多い」というスタッフの声をよく聞きます。
新人や転職してきた職員に対しては、一対一でサポートできるように「今日はこの人に聞いていいよ」というペアを事前に決めており、安心して業務に取り組める環境づくりを心がけています。
もちろんペア以外の誰にでも聞いてよいとも話しています。
夜勤に関しても、「もう一度、先輩と一緒にやりたい」といった希望にはできる限り応じ、不安がない状態で臨めるよう配慮しています。
また、中途採用の方については、前職での経験ややり方がそれぞれ異なるため、その方に合わせた指導方法を検討しています。
「●年目だから」と一律に判断するのではなく、その人がどこまでできるのかを見極めながら、個々に合った支援を行っています。
医師との距離感はとても近いです。
リハビリテーション科との連携も強く、一人の患者さんにプライマリ-の看護師がいて、リハビリセラピストも担当者がいて、月1回評価会議を医師・看護師・リハビリセラピスト・MSW・退院支援ナースで行い、退院まで支えていきます。
指導にあたっては、その人の経験や習熟度に応じて柔軟に対応していますが、目安としては、最初の1〜2週間は先輩と日勤で同行勤務を行います。
その後、3〜4週目から夜勤に入っていき、夜勤も最初の2回は先輩と同行勤務で行うようにしています。
不安が強い場合には、3回目まで同行勤務になることもあり、無理なく安心して業務に入れるよう配慮しています。
担当がついているので日々の振り返りはしています。師長としては1~2週間、1ヶ月と面談しています。
日常的には病棟で「困ったことはない?」と声をかけるようにしています。
経験豊富なスタッフが多いので、中途入職の方に新人指導を任せることはありません。
できる方は1年ほどしたら任せることはありますが、不安があるようなら無理にはお願いしません。本人と相談して進めています。
評価会議では、患者様の情報を多職種で共有し、リハビリとしてのゴールや退院支援の方向性について確認しています。
課題としてよく挙がるのは、リハビリの目標は見えていても、退院先がすぐに決まらないケースです。
施設を探しても受け入れが難しい場合や、在宅復帰を希望していても環境に課題がある場合など、支援の方向性に迷うこともあります。
たとえば、自宅に階段があるために退院が難しいと言われた患者様に対しては、リハビリで階段昇降の訓練を重点的に行い、最終的にご自宅への退院を実現したケースもありました。
このように、リハビリの専門性を活かしながら、生活環境や退院支援とのバランスを考慮した支援を行っています。
私自身も入職当初は寮生活をしていましたが、とても楽しい時間でした。
同期と同じ寮に住んでいたので、夜勤の合間でも時間を合わせて集まり、一緒に過ごすことができたのが思い出です。
寮は安くてきれいで、生活環境としても整っているため、現在も若いスタッフを中心に多くの職員が利用しています。
仕事だけでなく、プライベートでも仲間とのつながりができるのは、大きな魅力だと感じています。
希望休は月3日までとしていますが、できる限り職員の希望がかなえられるように勤務を調整しています。
希望が重なった場合も、チーム内で協力しながら「なんとかする」体制が整っており、大きな問題になることはほとんどありません。
新人・ベテランに関係なく、基本的にすべての職員の希望を尊重して勤務を組んでおり、公平で働きやすい職場づくりを大切にしています。
日頃から、なるべく顔を合わせたスタッフ全員に声をかけるように心がけています。
何気ない一言が、職場の雰囲気づくりや信頼関係につながると感じているからです。
また、「もう少し観察してほしいな」と思う場面があったときには、その都度声をかけて確認しますが、決めつけたり注意から入ったりすることはせず、「どういうことがあったのか」「どんな気持ちでそう記録したのか」など、まずは本人の話を丁寧に聴いてから指導するようにしています。
勤務を代わってくれた方や、他部署から応援に来てくれた方には、できるだけその場に出向いて直接お礼を伝えるようにしています。
日々の支え合いがあってこそ成り立つ仕事だと感じているので、感謝の気持ちは言葉にして伝えることを大切にしています。
この職場には、患者さんのペースを尊重し、焦らせずに余裕を持って待てる人が合っていると思います。
ただ待つのではなく、患者さんの目標を理解したうえで、「意味を持って待つ」姿勢がとても大切です。
また、当院では他職種との連携が非常に密で、チームで一人の患者さんを支える体制が整っています。
そのため、協調性があり、周囲と円滑にコミュニケーションをとりながら動ける方が向いていると感じます。
受傷時から退院まで、じっくりと患者様と関われることがこの仕事の大きなやりがいです。
退院後の生活をイメージしながら、「どのような生活をしたいか」という患者様の声をしっかりと聞き、一緒に目標を立てて、チームみんなでその目標を叶えていきます。
入院中の患者様は比較的安定している方が多いですが、急変や普段と違う小さな異変にも気付く必要があるため、急性期で培った経験が非常に役立っています。
基礎疾患を抱えた方も多いため、急性期での学びは今も活きています。
また、もともと持っている疾患に加え、脳梗塞などで「できないこと」が増えたときの精神的な困難やもどかしさも含め、患者様の心身両面を支えていくことが求められます。
急性期の経験があっても、退院支援については未経験の方も多いと思います。
そういった部分は、一緒に学びながら進めていきますので安心してください。
これからは自宅での介護が増えていく時代ですので、利用できるサービスについても学べる環境が整っています。
経済的な問題や施設がなかなか決まらないこと、介護者の負担など、さまざまな困難がありますが、チームの力を合わせて乗り越えていきます。
若い力も必要ですので、一緒に頑張っていきましょう!
また、合同カンファレンスを通じて法人内外の事業所とのつながりも強く、退院後の支援も安心してお願いできる体制が整っています。
自分も子育てしながら大田病院でずっと働いてこれました。
働きやすくて、子育てとの両立ではそんなに苦労してこなかったと思います。
若手の頃は、私自身はすぐに上達する人じゃなかったけれど、先輩方が根気よく教えてくれたからこそ今があるなと思います。
だから、苦手なものがあってもなんでも大丈夫!どんな人でも一緒に働いていく中で少しずつできるようになっていただければいいと思っています。
一緒に働けたら嬉しいです!
✅大田病院看護師(常勤)募集要項
✅大田病院 看護師(非常勤)募集要項
✅看護師募集要項一覧
【師長インタビュー】
・♯01 おおもりまち訪問看護ステーション副所長はどんなひと?
・♯02 手術室師長はどんなひと?
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