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2025.09.16

師長インタビュー♯04  :地域包括医療病棟 師長はどんなひと?

「患者さんの声に耳を傾け、チームで支える」―地域包括医療病棟 師長インタビュー

新卒で大田病院に入職してから、呼吸器内科・訪問看護・外科病棟・HCUなど、多彩な現場で経験を積み重ねてきた地域包括医療病棟師長。
現在は地域包括医療病棟を率い、患者さんの思いを尊重しながら、チーム全体の連携を大切にした病棟運営に取り組んでいます。豊富なキャリアから学んだ「患者中心の看護」と「スタッフが安心して働ける職場づくり」への想いを伺いました。

Profile 
A.Nさん 大田病院 地域包括医療病棟 師長

家族構成:母、兄、弟
趣味:家庭菜園、散歩、ライブ観賞、舞台観賞☚海外作品も含めて幅広く観に行きます。シーズンにもよりますが、年10回ほどは行っています。
看護歴:26
キャリア:
新卒~3年目 新卒で大田病院に入職 呼吸器内
3年目~   訪問看護ステーション
5年目~   外科病棟(副主任
11年目~   3病棟(循環器内科、腎臓内科、HCU)主任
16年目~   5病棟(消化器外科、整形外科)
18年目~   5病棟師長
24年目~   3病棟(地域包括医療病棟)師長

大田病院看護師(常勤)募集要項
大田病院 看護師(非常勤)募集要項

◆自己紹介◆

―師長として現在の病棟を担当されるまでのご経歴を教えてください。

新卒から大田病院に入職しました。
入職をしたときはまだ病院を建て替える前で、古い建物でしたが働いている人たちがとても暖かい病院だなと思いました。
新卒から3年目までは呼吸器内科で働きました。救急病室もあり、入院も多く忙しい毎日でした。
3年目にプリセプターを経験し、当時は3か月くらいで1年目看護師も夜勤自立になっていたので、夜勤まで見届けて、7月より訪問看護ステーションに異動しました。
当時は3年目に院内の他病棟や法人内の訪問看護ステーションへの異動があり、最初訪問看護に異動といわれたときは行きたくないと思いました。
ただいってみると、訪問看護では病棟ではできなかった1対1の看護ができ、自宅で療養される方の実際を経験したことで、のちに病院へ戻った時の患者さんをとらえる視点が広がりました。
訪問看護で1年半勤務した後、また病院へ戻りました。外科病棟で、当時病棟編成でこの時も救急病室があり常に入院を受け入れていました。術前術後の看護など新しいことも学びながら、副主任を務めました。
その後、病院の現地建て替えが始まり、病棟編成をしながら、スタッフも内科外科でMIXになったり、夜勤の時は2フロアを1人で見るなど、大変だったけど様々工夫をしながら取り組んだ覚えがあります。
2010年に念願の新病院ができ、の主任となりました。
その3年後に5病棟(消化器外科、整形外科)へ異動し、病棟にHCU設置することになった時は、主任として関わりました。その後師長となりました。
現在は、3病棟(地域包括医療病棟)で働いています。

―看護師として大切にしてきたことや、師長として意識している姿勢は?

様々な患者さんが治療を受けられる中で、方針の確認の場面などでもお互いの円滑なコミュニケーションはとても大事だと思っています。
ちょっとした行き違いがおこることもあり、医師とスタッフとの間、患者さんと医師の間に入って、患者さんがどう思っているかを大事に調整を心がけています。
まず患者さんの思いを知らないと動けないので、スタッフには困ったことをなるべく聞くように促してしています。
電カルが導入されてから、便利でよいこともありますが、医師への連絡もメールになることも増えました。メールでのやりとりでは難しいこともあるので、患者さんの願いがどこにあるかを知るには患者さんに気持ちを聞くしかありません。
患者さんをみてきてこう思うというのは看護師として医師に伝えていいと思ってます。
忙しい先生に言いにくいというスタッフの間に入り、伝えていくことを意識しています。
患者様の声をまず聴きに行き、医師とやりとりしたことはしっかりとチームに返すようにしています。
スタッフに対してちょっと元気がないなとか、いつもと違うな、など気になったときには声をかけています。
どうしても気になっているスタッフに目が行ってしまいがちなので、全員にもっと目を配らなきゃなと感じているところです。

 

◆大田病院地域包括医療病棟の特徴◆

―地域包括医療病棟の役割や特徴を教えてください。

令和6年度の診療報酬改定の中で新設された病棟機能です。
主に軽症・中等症の高齢者の入院を受け、急性期と回復にの中間のような役割があり、急性期の治療と早期のリハビリテーションや栄養管理で適切な退院向けた意思決定支援に取り組み早期の在宅復帰を目指す病棟です。
実際、大田病院でもコロナが終わったけど高齢者が帰れないという事態に直面して、治療とリハビリと、退院先をどうするかを総合的にみることができるように、2024年10月から地域包括医療病棟になりました。
平均在院日数21日で、急性期病棟より若干長めです。
年齢としては70歳代以上が多いです。高齢の方が多いので、あらゆる面からのケアが必要な患者様が多く、認知症の方やせん妄があり、一人暮らしは難しくなり退院先を考えなければならないという方も多いです。
治療の進み具合と退院支援の進み方の調整が難しい場合もあります。
スタッフには、先を見据えて動く事が大切と伝え、自宅での生活がイメージできるように、退院後にはなりますが、看護師2名で退院後訪問に取り組んでいます。
事前にチームからどういうところを見てくるか意見を出してもらって、行き、報告してもらっています。
どのチームも、忙しい業務の中でも計画をたてて取り組んでいます。

―病棟の1日の流れや、特徴的な業務は?

8:15  出勤、情報収集、
8:30~ 全体の朝礼 
8:45~ 深夜から申し送り
申し送り後、家族指導、検査や手術があるならだれがどの対応するか、看護計画の見直し、医師への確認事項など、一日のチーム業務が円滑に進むようにチームごとにミニカンファレンスをしています。
そのあと、リーダーは点滴詰め、ほかのメンバーはおむつ交換、陰部洗浄を一斉に回ります。
それが終わると10:00ごろから各自受け持ちのケアにベッドサイドに行き、検温や処置、点滴など行います。
また、退院対応、入院対応も行います。
平日の受け持ちは4~6人程度です。 

12:00に一斉に配膳、食事介助に入ります。食事介助の患者さんや経管栄養の方が多い時は大変ですが、看護補助者とも声を掛け合いながら行います。
12:30~ 休憩 病棟の休憩室や、院内の食堂で各々休憩を取ります。11:30にお昼当番看護師が各チーム1名ずつ先に入ってみんなの休憩中は見ていてくれます。
13:30~ 曜日によってデーリーが決まっていて、学習会やインシデント討論、転倒ラウンド、抑制ラウンドなどに取り組んでいます。
14:00~ 注射、検温、家族指導、面会の方の対応
若手や指導中の方には、午後いちで業務調整の声かけもしながらすすめています。
中途入職の方はその人の経験にもよりますが、1ヶ月はペアで動くスタッフを決めています。
早い方は1か月たたないうちに、本人が大丈夫ならペアを外すこともありますが、ペアを外れたあともリーダーに聞いてもらうなど、誰に相談すればよいか示すようにしています。

―病棟で働くスタッフの年齢層やキャリア構成は?

常勤のみだと、20代 11名、30代 1名、40代 8名、50代 2名です。
新卒看護師も毎年病棟に3名ほど入ってきますので、若い方も多いですし、子育て中の看護師も多く、子育てを終了した看護師からのアドバイスなどももらったり、子育て中のつながりも多いようです。
子育て中のスタッフは、常勤4名、非常勤3名 パパナースもいて、夫婦で育休もとってました。

―チームワークを感じる場面やエピソードを教えてください

入院時の対応はすごくみんな積極的です。緊急入院が来るよ、となったら手分けしてすごい勢いで対応します。
そのおかげで、残業もほとんどなくみんなで協力し合って頑張っています。
子育て中の非常勤の方は保育園の迎えがあるのでその人たちは時間で帰ってもらえるように声掛けもしています。
子育て中のスタッフも多いので、子供の熱など突発休があることも多いですが、勤務組みかえにもみんなとても協力的です。
若いスタッフも含めて、みんな「いいよ、帰ってあげて」と言ってくれます。
数日休むことも想定して、フリーに変更したり先手先手で対応しています。そういう時は自分が現場に入って責任番に入っています。

 

◆教育・フォロー体制について◆

―既卒やブランクのある方に対して、どのような教育体制を用意していますか?

中途入職の方は、経験年数も経験内容も様々です。
とにかく最初1か月ぐらいはペアで日勤で一緒に動いてもらい、大田病院でのやり方をお伝えして覚えてもらうようにしています。
師長としては、1週間くらいで困っていることはないか声をかけています。
ペアで1ヶ月は日勤をつけて、日勤が大体経験出来たら、夜勤は2週間後くらいから開始します。3回程度、スタッフ同行のもと行い、本人の不安がないか確認しながら進めています。
3回一緒にやったから次から自立!と機械的にはしていません。不安が残るようだったら不安のままそのままやるようなことはないようにしています。
経験してないものに対する不安がある方は一つひとつやっていけるように経験してもらうようにしています。
実際に、最近入職した方でも、新たに入院を受ける際の大田病院での手順に不安があるからもう少し一緒に入ってほしい、という要望を伝えてくれた方がいました。
その場合も、スタッフが一緒に入院受けの手順を確認しながら行い、自立することができました。

―入職後に安心して働けるよう、どんなサポートがありますか?

入職して1週間程度でこちらから声をかけます。
残業もチェックしているので、遅くなっているようなら、「時間調整したほうがいい?土曜のこの勤務はやめたほうがいい?部屋持ちの方がいい?」など相談するようにしています。
不安や課題をキャッチしたら先送りにしないで早めに声をかけるようにしています。
シフトなど調整できることはあるので、スタッフが働きやすいように意識しています。。
休み希望は3日の希望休と決まっているが、できるだけ叶えてあげたいので、私がやれることは勤務調整なので、希望出してない人でも不公平感が出ないように連休をつけたりしています。

 

◆働き方と家庭との両立支援◆

―子育てや家庭と両立する上で、病棟として工夫していることはありますか?

残業は、例えば2025年4月~6月平均で9時間20分です。
他の病棟より、若干少なめでした!有休消化率は2024年度は100%達成しました。
子育て中のスタッフも多いので、子供の熱など突発休があることも多いですが、勤務組みかえにもみんなとても協力的です。
若いスタッフも含めて、みんな「いいよ、帰ってあげて」と言ってくれる協力体制ができています。

―実際に子育て中のスタッフはどのように働いていますか?

子育て中に働きやすい職場といってる職員が多いです。
横のつながりがあるので、子育てママさん同士でやりとりもあるようです。
子育て中のスタッフは複数いるので、悩みを相談できるのも心強いようです。
また、最近は入った方は、入職する前の説明で働きやすいと聞いたけど、実際はどうなのかと思っていたが、入職後「みんなが声をかけてくれて、本当に働きやすいです」といってくれていました。

―実際に既卒で入職された方の成長・活躍事例を教えてください。

これまで循環器や脳神経外科などで忙しく働いてきましたが、子育てもあるので「働きやすそうな病院」を探し転職してきた方の例です。
患者さんに対しても職員に対しても誰とでもフランクに話ができ、患者さんのカンファレンスのときにもしっかり発言ができる方です。
入退院を繰り返している方は前回の入院も踏まえて、観察をして、医師とのやりとりにもしっかり生かしてくれています。
また、前の病院でもリーダーや指導者を経験してきた方で、患者さんを特性で決めつけず困っている方の困りごとをどんなことでもとらえて柔軟に受け止め受け入れながら、じゃあこうしてみよう、と対応に結び付けてくれています。
それまで培ってきた力を活かして活躍しています。

―入職当初に抱えていた不安と、それをどう克服した例

育児に理解がある職場だと聞いていたが本当に大丈夫か、とか、育児との両立について不安があったスタッフですが、
お迎えの時間があるが時間で帰れるか、という不安にも、職場で協力し合って、自然に、お互いに時間を見て声を掛け合って「もういいよ、帰って大丈夫ですよ」と退勤できるようにしています。
仕事も好きで子育ても好きだけど、子育て中、自分の時間も作るように調整することも可能という提案もして、常勤だったけれど非常勤になった方もいます。
過去に子育てが一区切りついた後、また常勤に戻る方もいて、無理をせず、できる形で働いてもらえたらと思っています。

 


◆師長の考え方◆

―師長として病棟運営で大切にしていることは何ですか?

いろいろな人がいるし、それぞれ得手不得手があるけれど、得手を伸ばして、できることを増やしてほしいと思っています。いろんな人がいて良いじゃない、と私自身は感じています。
お互いに認め合ってやっていこう、ということは、もちろん今の風土として自然にできてはいますが、病棟運営の上で私が大切にしたいことです。
また、異動についても、同じ場所にずっといるより、いろいろな経験をすることが大事だと思っています。そのためにも、誰にとっても平等に経験の機会があるのが望ましいです。
院内応援があるときには、他の職場を実際に見てみる良いチャンスだと思うので、自分の目で見てきてもらえるよう、積極的にすすめています。
私自身も、8年ぶりに異動したときに戸惑いはありましたが、そのおかげで気づけたことも多く、ずっと同じ場所にいることが必ずしもいいとは限らないと感じました。

 

◆今後の展望◆

―今後、地域包括医療病棟として力を入れていきたいことは?

地域包括医療病棟が開設されて間もなく1年経ちますが、施設基準を満たすために日々の調整や工夫が必要です。それをスタッフに共有しながらやっていきたいです。
退院を見据えて早期から関わること、退院支援の進め方、退院支援ナースと共に、病棟ナースもそういう着眼点をもって関われるようにつくっていきたい。
この患者さんどこまで進んでる?困っていることない?と確認しながら、チームでできることもあります。
在宅をイメージして「家に帰ってどうするか」というところを早くキャッチして対応していくことにも力を入れていきたいです。
退院前カンファレンスではなく、入院後カンファレンスを試験的に行ったこともあります。
日にちを決めて、そのカンファレンスまでに必要な情報をとってくるように伝え、カンファレンスに臨みました。
入院時から退院を見据え退院支援ナースと情報共有しながらその患者さんに必要なケアを提供できるといいと思ってます。
癌の患者さんのこうしたいという希望もそうだけれど、退院後のこと退院先に関しても、スタッフには患者さんの希望を聞いて欲しい。
それなしに「きっとこうだろう」となりがちだけれど、今の患者さんの気持ちを聞けるのはスタッフなので、どこでどう暮らしたいか、何を大事にしていきたいのか、ということを「とにかく聞いて」ということを大切にしています。

―将来的に一緒に働く仲間とどんな病棟を作っていきたいですか?

お互いに認め合える職場病棟でありたいです。
師長の私だって失敗することもあります。だけど失敗を隠さずに振り返りして、改善していけばいい。失敗からも学ぶことがおおいにあると思います。
完璧な人間はいないので、助け合って生きているというのを感じ合えるような病棟にしていきたい。

 

◆求職者へのメッセージ◆

―転職を検討している看護師の方へ、一番伝えたいメッセージをお願いします。

看護を大切に働ける、患者さんありきの「看護」を大切にしたい人。
とりあえず来てみて、あなたのペースを見つけられたらそれでいい。やれることから一緒にやっていきませんか。
みんな違っていいんです。信頼関係をつくり、一緒により安全でより安心できる看護を提供していきたいと思います。
一面では判断しないので大丈夫、安心して一歩を踏み出してみてください。
相談したらこたえてくれる病棟です!

 

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大田病院 看護師(非常勤)募集要項
看護師募集要項一覧

【師長インタビュー】
01  おおもりまち訪問看護ステーション副所長はどんなひと?
・♯02  手術室師長はどんなひと?
♯03  回復期リハビリテーション病棟 師長はどんなひと?

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